市貝町の日々

里山で人の暮らしを 片岡林業 片岡信夫さん

「ベストをつくろうとは思ってないんですよ」
「私は良い炭をつくって皆さんに喜んで使っていただきたい。いわゆる道具と同じなんで人を呼ぶお座席に言ったときには、どこどこのお菓子を使っていて、だれだれの茶碗で、炭はあなたのよってなってくれるのが一番ありがたいな」という片岡さんは、茶道のお湯を沸かす茶炭を代表として炭をつくる炭焼き職人。プロとしてベストを目指すのではなく、いつも同じもの(一定の燃焼率など)をつくることが大事。モットーは“嘘はつかないこと”と笑いながら、職人ならではの想いを語ってくれた。

門前の小僧習わぬ経を読む
片岡林業として、炭焼きから加工までやるようになったのは約50年前。片岡さんが引き継いでからは12年が経つ。引き継いだ当初、「少しは、日本文化の足下を支える一部ぐらいにはなってんのかなぁ」と思っていた。小さい頃から炭焼きが身近にあり、おじいさん、おとうさんの背中を見て仕事を覚えてきた。作業だけ見ると汚れるなど良いイメージを持たれないというが、できあがった上質な茶炭は、業界で評価が高い。日本の伝統文化に関わる炭として、自然の木からしかつくることができない美しさは、思わず見とれてしまうような惹きつけるものを感じた。

クヌギの木を植え付けて、つくりかえをしています
茶炭の原料となるクヌギは、8年から10年周期で切り倒す。その自然を活かした仕事である林業は、片岡さんにとって「それが私たちの生活を支えてくれてたし、そのおかげで私たちは育ててもらった」もの。日本有数の原木生産地として、ナラやクヌギの伐採が盛んだった時代から、2011年の原発事故で状況が一転。炭としては放射能の影響はないが、伐採作業を委託していた片岡林業としては大きな痛手。切られなくなった里山は、死にかけているという。地元の木を使って炭を作れる日を夢見て、余裕がある限り仲間と自分で山を切っているそう。里山との暮らしを知っている片岡さんは、手を入れて活用する里山を教えてくれた。

片岡林業 データ
栃木県芳賀郡市貝町石下257
電話番号 0285-67-1013

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